NFTの歴史と現在の最新動向

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NFT
 | 2021-04-22

今週末にClubhouseで、G.U.LabsのCTOの近藤さんと西村さんとNFTについて話します。以下その話の土台となるNFTについてのまとめです。Clubhouse roomへのリンクは最後にあります。

Fungibleってなに?

NFTはNon Fungible Tokenの略。Fungibleとは「代替可能性」「代替性」。あなたの持っている1円と私が持っている1円は同じ価値なのでFungible。Non-fungibleでは、個々のものはそれぞれ別のもの、ということになる。

2017年7月:CryptoPunksコレクションがリリースされる

Matt HallとJohn Watkinsonという二人のエンジニアが2017年7月に実験的にリリースした。24×24ピクセル、8ビットの顔画像で、全部で1万個あり、冒頭の画像はその一部。ほとんどは人間の顔だが、ゾンビが88個、猿が24個、エーリアンが9個ある。開発者の二人は1000個を手元に残して残りは無料で配布した。

リリース当初はほとんど話題にならなかったが、その後のNFTブームを生み出す起爆剤となったこと、またアルゴリズムにより生成されるという点で技術的に新奇性が高いことが新たに評価され、4月22日時点での最低価格は19.4ETH(約5万ドル)、これまでの取引の最高価格は4200ETH(約760万ドル)となっている。また、開発者の保有している1000コレクションのうち9個が5月13日に行われるクリスティーズのオークションにかけられることになっている。

NFT規格の誕生(ERC-721)

Bitcoinにない様々な機能拡張を可能とするEthereumが2015年にローンチ、「ブロックチェーン上にプログラムを書き、設定した用件を自動的に実行できる」というスマートコントラクトが可能になった。Ethereumでは、新しい仕様の提案が続いており、この「提案」はERC(Ethereum Request for Comments)と呼ばれる。その一つ、ERC-721は2017年に提案されたもので、これにより、CryptoPunksのように個々のアイテムが一つしかない=代替性がないアセットを扱うことが可能になった。(具体的には、個別のNFTにユニークなIDがつけられ、このIDは変更できない、という仕様)。

2017年11月:最初のNFTバブルとなったCrypoKitties

ERC-721後に最初に大きな話題となったのがCryptoKitties。Dapper Labs社が開発して2017年の11月にローンチ、すぐに話題となった。CryptoKittiesは漫画チックな猫のイラストで、平凡なものから超レアものまでいろいろあり、2匹を掛け合わせて新しい猫を生み出すこともできる。

上の猫は253.3368 ETHで販売されたもの。当時のレートで$110,707.16、現在のレートだと$600,000以上になる。

CryptoKittiesで明らかになったEthereumネットワークの問題

CryptoKittiesはEthereum上で取引されたが、Ethereum上のネットワークトラフィックの10%がCryptokittiesという事態になり、取引にかかる時間が著しく長くなった。結果として、今後広範にブロックチェーンを利用していくには、拡張性(スケーラビリティ)が重要であることが広く認知されることとなり、そのためのソリューションの開発が加速した。

クリプトの冬:2018年ー2020年前半

2017年12月に一瞬2万ドルを越したBitcoinの価格は2018年1月には8000ドルまで落ち、2018年末には3000ドル台まで下落、その他の暗号通貨も押し並べて同様に価格が下落し、クリプト界は2020年後半までの冬眠期間に入った。しかしこの間に様々な技術・プロジェクトの開発が着々と進んだ。

CryptoKitties開発元が満を持してNBA Top Shotをローンチ

NBAのバスケの試合の名シーンの短い動画をNFTの「モーメント」として販売し、さらに買った人が他のバイヤーに転売することができるセカンダリ市場もあるNBA Top Shot。「バーチャルNBAトレーディングカード」とも言える。CryptoKittiesの開発元のDapper LabsがNBAからライセンスを獲得して始めた事業で、2020年6月にクローズドベータで初のモーメントが販売された。クレジットカードでも簡単に買えるという簡易さもあって、従来のクリプト愛好家だけでなく、スポーツカードコレクタやスポーツベットのファンも参入、2021年2月までに $230 millionが取引された。Dapper Labsには、最初の販売時の代金(マイナスNBAライセンスフィー)と、セカンダリ市場での売買の5%が利益として落ちる。

Dapper Labsは、3月に$305 millionを調達、企業価値は$2 billion超と言われている。同社ではさらにNFT取引用のFlowというブロックチェーンも開発、NBA Top Shotも2020年9月からはFlow上で稼働している。

2021年2月:Elon MuskのパートナーのGrimesも$6MのデジタルアートをNFTとして売却

Elon Muskとの間に「X Æ A-12」という名前の子供がいるカナダのミュージシャン、Grimesが自らのデジタルアートをNFTのオークションマーケットプレース、Nifty Gatewayで売却。そのほとんどは、EarthとMarthと命名された音楽付きのショートビデオで、それぞれ1点$7500で700コピーが購入された。

スポーツトレーディングカード老舗のToppsがNFT販売開始、SPACと合併予定

1938年にニューヨークで創業したToppsは、チューインガム製造販売に加えて1950年代にトレーディングカード事業にも参入、1972年に上場し、1984年にプライベート化、1987年に再度上場、2007年にマイケル・アイズナーの会社に買収された。

しかし長い間の地味なビジネスから突如脱皮し、2021年3月にWAX.ioとの協業でNFTスポーツトレーディングカードを販売することを発表、4月にはSPACとの合併による上場計画が発表された。合併に際してのToppsの企業価値は$1.3 billionで、Topps社の事業に$250 millionが新たに投下されることになる。ちなみに2006年時点でのTopps社の売上は$91.6 millionしかない。

2021年3月:NFTアートがクリスティーズで70億円超で落札される

デジタルアーティストのBeepleは、毎日1つずつ作品を公開してきたが、その15年分をまとめたものが「The First 5000 Days」と題されクリスティーズでオークションにかかり、最終的に$69 millionで落札された。これを落札したのは2012年ごろから暗号通貨に関わって富を築いたMetaKovanというハンドルの「クリプト長者」で「出来レースじゃないのか」という声もあるが、SPACキングのビリオネア、Chamathは「普通のアートの世界も同じことをしている」と言っている。

NFTが買える代表的なマーケットプレースは?

OpenSea:2018年1月に設立された最初の分散型NFTマーケットプレース。デジタルアートに加え、ゲーム内アイテム、ドメインネーム、リアルな世界のアセットの デジタルなレプレゼンテーションも扱われ、「NFT界のeBay」とも呼ばれている。トランザクションはEthereum上のWyvernプロトコルで行われる。

Nifty Gateway:キュレーションされたNFTのオークションを行う。時間限定で新しい作品が「ドロップ」される。2018年創業で、2019年にFacebookとの訴訟で有名になったWinklevossの双子が始めた暗号通貨取引所のGeminiに買収された。上述のクリスティーズの前の今年2月にBeepleの作品が$6.6 millionで売却されたのもNifty Gateway上だった。(下記はNifty上でで売買されたアートの例)

Foundation:クリエーターが誰でも自分のデジタルアートをオークションにかけられるマーケットプレース。エドワードスノーデンのFreedom of the Pressと題したNFTが、4月16日に2,224ETH、約$5.3 millionで売却されている。

SuperRare:認定アーティストだけがNFTを販売できるマーケットプレース。

Hoard.Exchange:マーケットプレースに加えSDKを提供、ゲーム開発者がインゲームアイテムをNFTとしてゲーム外でも流通できるアイテムにすることができる。

Rarible:マーケット参加者に対し独自トークンのRARIを2024年半ばまで毎週一回分配していく。

Enjin:PolkadotベースのNFTブロックチェーン、Efinityをローンチ予定

他にもSuperfarm、Ethernity、FansForever、Hic et Nuncなど多数あり。

アート以外に何がNFTで売れるのか?

2021年3月には、Jack Dorseyの最初のtweetが$2.9 millionで売却され、ニューヨークタイムズの記者のコラムは$560,000で売却された。上述したようにゲーム内のデジタルアイテム、ドメインネーム、何らかの金融コントラクトも対象として考えられる。また、不動産など、リアル世界のアセットの権利をNFTとしてブロックチェーン上に記録して売買することもできる。

自分のTweetも売り出したいけどどうしたらいいの?

Jack DorseyがtweetをオークションにかけたのはCentという会社が運営するValuablesというサイトで、これはtweetのNFTオークション専用サイトとなっている。誰でも自分のtweetを売ることが可能。方法は、まずサイトを自分のTwitterアカウントと連携すると、過去のtweet全てがオークションにかけられる状態になる。さらに、MetamaskというEthereumのウォレットを作ってValuablesと連携して、オークションしたいtweetがあることを告知・拡散すればOK。(拡散しないと、誰もそのtweetがオークションにかけられていることに気付きません。)

人体実験Tweet販売

さて、ついては、「隗より始めよ」ということで、私のTweetをオークションに出します。2018年の1月17日のこれ↓

https://platform.twitter.com/widgets.js

ちなみにこのtweetには続きがあって、2018年の11月のこれ↓

https://platform.twitter.com/widgets.js

このtweetにはさらにこんなスレッドが続きます↓

ということで、何が言いたいかというと、2018年1月の段階でビットコインが$4000を切ったらその後は反発するという予測をし、さらに11月の段階で$4000を切ったあと次に値段があがるのは2020年〜2021年と予測した、つまりマジあたってる、ということを記念するNFTです。これを落札するととても縁起がいいと思います。

落札した方にはさらに特典として「クリプト1-on-1」として暗号通貨についてこれまでとこれからをお話しするセッションを行います。(もちろん落札者の方が希望しなければなしでOKです。)

というわけで皆さん、

1 Metamaskにアカウントを作り
2 bitFlyerあたりでEthereumを買って自分のMetamaskアカウントに送金し
3 ValuablesでMetamaskをリンクして
4 このページからビッドしてください。

(ハードル高そうですね)。

このポストを踏まえた4/23のClubhouse暗号通貨勉強会でのディスカッションポイント

  • NFTが実現する新たな社会・生き方とは?
  • 今後どんなNFTが価値を持つか?
  • 単なる「権利」だけの売買で良いのか?作品そのものが正しくその権利に紐づいたものであることをどう保証するのか?
  • 現在のNFT相場はバブルなのか?バブルが弾けた後に残るのは何か?

Clubhouseのルームはこちらのリンク先に。または私のIDは@chikawですので、そこから辿れると思います。開催は西海岸 4/23の7pm、日本の4/24の11amよりですので、お気軽に聞きにきてください。

Chika Watanabe

Born in Japan, lives in Silicon Valley. Japanese Blog: chikawatanabe.com English Blog: eng.chikawatanabe.com

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