暗号通貨勉強会:Celsius・Maker Daiその他

この内容について話したポッドキャストです。

■LidoのstETHの影響でCelsius 引き出し停止

Lidoはステーキングサービスで、ステークした通貨と同じ価値にペグしたLidoの通貨が発行される。例えばEtherをステークすると1 ETHあたり1 stETHという通貨がミントされる。ここで得られたstETHでETHを買って、そのEthをまたステークしてstETHをミントする、と繰り返すことができる

Lidoでは412万ETHがステークされ、これはBeacon Chainにステークされた全ETHの31.9%を占めた

stETHのETHへの交換(stETHでETHを買う)がもっとも行われていたのがCurve。ここで、stETH-ETHのリクイディティプールの比率は1:1であるべきだが、これがETH:stETH=2:8となり、stETHのETHへの交換が難しくなり、stETHのETHへのペグがはずれだした

一方Celsiusは、ETHに6-8%の利子を出してETH預金を集めており、これをLidoで運用、パブリックなCelsiusのウォレットだけで$475M 分のstETH(409,170 stETH)を持っていた

stETHのリクイディティが低くなったところでCelsiusのstETHからETHへの交換が難しくなり全通貨引き出し中止となった模様

■MakerDAOによるDai運営方法

アルゴリズム型ステーブルトークンのUSTが失敗したが、同じアルゴリズム型のステーブルトークン、Maker Daiはどうやってペグをキープしているのか。

最大の違いはDaiには担保があること。なおDaiはMakerDAOによって運営され、MakerDAOのガバナンストークン、MKRがある。

担保は2017年のローンチ当初はEtherのみだったが、その後Ethereumベースの他のアセットも担保に利用できるようになった。(BAT、USDC、wBTC、TUSD、USDT、MANA、UNIなど)。Daiを発行するには約2倍の価値の担保を預ける必要があり、実際の担保の必要倍率はLiquidation Ratioとしてアセットごとに定められている。

Daiを発行したい人は、担保を預けてDaiを発行し受け取る。その後、借りたDaiにスタビリティフィーを足した額を返済すると担保が返却される。スタビリティフィーはプロトコルデットファンドのMaker Bufferに入る。

担保の価値が下がってLiquidation Ratioを下回ると担保は競売にかけられ、代金としてDaiが入ってくる。このDaiはMaker Bufferに収められる。これをCollateral Auctionと呼ぶ。

競売してもDaiが足りない場合、不足分はMaker BufferにあるDaiでカバーされる。

それでもまだ足りない場合、Debt AuctionとしてMakerのガナバンストークンであるMKRをミントして競売にかけ代金としてDaiを受け取る

Maker Bufferの上限額は定められており、それを超したらDaiが競売にかけられ、バイヤーはMKRでDaiを買う。受け取ったMKRはバーンされる。これをSurplus Auctionと呼ぶ。

以上のオペレーションを行うには各アセットの価格が正しく反映される必要があるがそれは複数のOracleから提示される。セキュリティのため、Oracleから入ってくる価格情報はOracle Security Moduleに一旦入り1時間のタイムラグを経てMakerに伝えられる。その間に不正が発覚すると不正なデータを提供したOracleはフリーズされる

これ以外にDaiをステーキングした場合の利回りを変更してDaiのペグを守る仕組みもある。ステーキングの利回りはMKRホルダーが投票して決める。

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