BlockFiに米ドルを預けると金利が10%近いことについての考察

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以下は6月18日に行ったClubhouse勉強会の討議内容です。

ポッドキャストへのリンクはこのブログポストの一番下にあります。

Shiba InuコインCoinbase Proにデビュー

  • Shiba Inu Coin、Coinbase Proで売買可能に(Coinbase Proでは現在75種類取り扱い)Shiba Inuは、Ethereumのブロックチェーン上のERC20コインで、独自の分散取引所とNFTプラットフォームを構築予定
  • このニュースで、Shiba Inuは$0.000007から$0.000009に30%弱「高騰」
Dogecoin自体がミームコインなのに、さらにその模倣的Shiba Inu CoinがCoinbase Proのようなメジャー取引所で扱われるのはどう考えればいいのか
  • ウォーレンバフェットのバークシャーハサウェイは1965年から1990年代までは年利で20%を超すリターンがあったが、ここ5年はS&P 500を下回る
  • それでも人気は続いておりこれが最初のミームアセットで、同様の現象が暗号通貨界で起こってもおかしくないという人もいる

アメリカ人の14%は暗号通貨を買ったことがある(New York Times

DeFiトークンTitaniumが「Rug Pull」

  • Rug Pullは暗号通貨界用語で、詐欺的なスキームで資金を集めて逃げてしまうこと
  • 主にDeFiで起こることが多い
  • 新しいトークンを作って魅力的なリターンを売り物に分散型取引所でそのトークンを売り、ある程度お金が集まったところで逃げる、というケースが多い
  • 分散型取引所では誰でも審査なしでトークンを売ることができるのでRug Pullが起こりやすい
「価値0だったものが24時間以内に50倍」といった信じられないリターンがある場合、それは大抵Rug Pullなので気をつけましょう
  • Titanium (TITAN)は「年利5万%」といった超おいしい利回りを売りにしたステーブルコイン発行用のトークンで、数日で$2B(2000億円以上)の資金を集めた
  • ビリオネア投資家のMark CubanもTITANに資金投下、ブルームバーグに次の通りコメントしている

it is no different than the risks I take [in] angel investing. In any new industry, there are risks I take on with the goal of not just trying to make money but also to learn. Even though I got rugged on this, it’s really on me for being lazy.

  • 一方でMark Cubanが投資するなら、と借金してTITANを買った一般投資家は自滅
  • 自滅覚悟の人以外は「借金して暗号通貨投資はしてはいけない 」 というのが教訓か

米ドルを預けると10%近い金利がつくBlock Fi

  • BlockFiは2017年にニュージャージーで創業、3月に$3Bの企業価値でベインキャピタル、DSTグローバル、タイガーグローバル等から$350M調達した現在社員が600人を超す暗号通貨銀行
  • 事業内容は、暗号通貨売買、暗号通貨の利子付き貯蓄口座、貸出し、ビットコインがリワードでつくクレジットカード発行
クレカ
  • 全ての購入に1.5%相当のビットコインがリワードとしてつく
  • 加えて、最初に$3000利用した時点で$250分のビットコインがボーナスとしてつく
貸出し
  • 4月時点で総額$20B(約2兆円)
  • リテール向けは貸出額より担保額が多いover collateralizedのみ
  • under collateralizedは機関投資家向けで信用が高いところのみ
利子付き貯蓄
  • 全預金をまとめて運用
  • ヘッジファンドなどに貸出
  • 今年4月の1ヶ月の支払い利子総額は$60M
  • 許認可がおりないのでDeFiプロトコルでの運用はしていない
  • カストディは主にGeminiに委託、それ以外にFidelityとBitGoにも委託
  • 利回りは下記の表の通りで、ビットコインとイーサリアムは預金額が多くなると段階的に金利が下がる
  • 今日時点でのドル換算で、ビットコインは$763,000以上、イーサリアムは$2,380,000以上になると0.5%しか金利がつかない
  • 一方、USドルにペグしたステーブルコインの金利は極めて高い
    • 米国系のステーブルコインの金利は8.6%(USDCはCircleとCoinbaseが発行、PAXは取引所のPaxosが発行、GUSDは取引所のGeminiが発行)
    • 中国系取引所でもバイナンスが発行するBUSDは8.6%
    • 香港系取引所のBitfinexの子会社のTetherが発行するUSDTは胡散臭さを反映してか(または胡散臭いにも関わらず)9.3%
  • USドルのステーブルコインに類似したものとしてはPAXGがあり、これはPaxosが発行するゴールドのアセットバックコインで金利は4%
  • 去年の3月までは2.5 BTCまで6%、それ以上は一律3%、ETHは上限なしで5.25%だった

(以上ソースはBlockFiサイトModern Financeでのインタビュー

参考:Geminiもたくさんの「暗号通貨利子付き貯蓄口座」を提供しているが、金利はステーブルコインのGUSDが7.4%、ビットコインとイーサリアムが2.05%などとなっている。

なぜステーブルコインの方がビットコインなどより金利が高いのか

米国で古くから株式やコモディティなどのデリバティブを扱ってきたCME Groupでビットコインの先物も扱っている。

しかし、最近は「今日の価格」よりも先物の方が高く、今日の価格でビットコインを買い先物を売れば利益が確定、例えば3/15時点ではその日のビットコインの価格と7/30の先物とのスプレッドは米ドルベースで7.7%、年利にして21%もあった。

つまり、買えば買うほど儲かるので米ドルを借りてビットコイン取引をしたいというニーズが極めて高いが、米ドルの伝統的な貸出元である銀行や証券会社は暗号通貨系への貸出を渋るため米ドルが足りない。

なので米ドルのステーブルコインの金利がビットコイン等の金利より高くなるという現象が起こっている模様。 (ソース:Bloomberg

ポッドキャストCrypticのEpisode 12